マルハニチロ侫武多会

~力強さ溢れる金毘羅大権現、イノシシとともにひたすらに邁進。橙と黄金に彩られるねぶたに注目。~

〔今年の見どころ〕

  今年のねぶたは「大海原の神・金毘羅大権現」。イノシシのように希望の未来に向かって邁進して欲しいという想いが込められている。薬師十二神将「宮比羅」であり、亥の神でもある金毘羅大権現は、昔より漁師や船員などから多くの信仰を集める海上交通の守護神だ。荒れ狂う大波に巻き込まれる船乗り達を助けるために、分身である黄金色のイノシシとともに現れ、宝剣による神通力と力強さ溢れるイノシシの力で荒波を鎮めた場面がねぶたでは描かれている。1つの場面として楽しむのもいいが、黄金色のイノシシにも注目である。なぜなら、ねぶたにあまり使われないからこその新鮮味や全身から溢れる躍動感、力強さが特徴的だからだ。猪突猛進を体現するかのようなイノシシと力強く宝剣を振るう金毘羅大権現を是非、生で体感してもらいたい。

  企業ロゴの変更に伴い、前ねぶた・太鼓台車を新規して作成。見やすさに磨きがかかったため、今年はロゴにも注目だ。

 

 

〔運行団体の歴史〕

  マルハニチロ侫武多会は青森の漁業関連会社が集まってできた会であり、マルハニチロのほかに青森魚類、丸大堀内、青森冷凍、マルハニチロ北日本そしてあおもり食品などが参加している。またマルハニチロ侫武多会の歴史は古く、2016年に50回目の出陣となった。これは戦後の昭和28年を第1回として数えているが、実際はもっと昔からある。「マルハニチロ侫武多会」という今の名前になったのは平成20年、マルハとニチロが統合したときである。1番最初、昭和28年には「大洋漁業」という名前だった。そこから昭和44年に「大洋漁業ねぶた会」、昭和55年に「青森侫武多会」、平成6年に「青森マルハ侫武多会」と名前を変え、今の名前になった。

 

〔ねぶた運行〕

  毎年多くの跳人が集まり、アットホームな雰囲気で運行が行われる。跳ね方をレクチャーするなどの支援もある。囃子は、設立されて10年以上の「海鳴」という専属の囃子方が担当している。前ねぶたはマルハニチロの会社のロゴを使用している。マルハニチロのロゴの文字やサイズに変更が加わったため、今年はそこにも注目である。マルハニチロのねぶたの大きな特徴は、電光看板を使わずに提灯だけでねぶたに明かりを灯している点である。橙色の淡い炎に照らされる昔ながらのねぶたを楽しみたい方は、マルハニチロのねぶたに注目である。

 

〔ねぶた制作〕

今年のねぶた制作者は手塚茂樹氏、平成26年にマルハニチロ侫武多会でデビューした。子供が見て「怖い」と思うような迫力のあるねぶたを制作したいと考えている。過去のねぶた制作者は北川啓三氏、北川金三郎氏、石谷進氏、川村心生氏、竹浪比呂央氏。平成7年から竹浪氏に依頼、ちょうどその年に観光協会長賞を受賞し海上運行を行った。その時のねぶたは「漢楚春秋 剛勇樊會」、とてもインパクトのあるねぶたで、ねぶた師の間でも話題になった。

 

 〔マルハニチロ侫武多会囃子方 海鳴〕

 マルハニチロ侫武多会囃子方海鳴は、進行の際「二丁ばち」、「二度ばち」、「流す」という3種類の太鼓の技とそれぞれの楽器の拘りを持って、ねぶた本体や跳人の方々の魅力をより一層際立たせる団体だ。ねぶた期間以外でも様々なイベントに参加している団体で、年間通して30回程のイベント参加数を誇るのも海鳴の大きな特徴である。また、ねぶたを大きく見せ、跳人を楽しませる囃子を心掛けているのも特徴の1つである。

 

文責:武田実紅

 

 写真:2017年 マルハニチロ侫武多会 「岩見重太郎・狒々退治」制作者:手塚茂樹