ヤマト運輸ねぶた実行委員会

~出陣34年目。迫力ある5体のねぶたに注目~

2018年の見どころ

 ヤマト運輸ねぶた実行委員会の今年の題材は「白浪五人男」。制作者は北村隆氏である。注目すべきは5体のねぶた。ねぶたが5体台上げされるのは、ねぶた史上でも類を見ないことである。当然ヤマト運輸ねぶた実行委員会としても挑戦的な試みである。歌舞伎「白浪五人男」は義理・人情にあふれた正義の盗賊が主人公の物語である。「志ら浪」と書いた番傘に手ぬぐいを肩に名乗りを上げ素性を明らかにする名場面をねぶたのモチーフにしている。見送り絵はその盗賊が捕らえられる場面である。また特徴的なのは番傘であり、その配置によってねぶた自体に迫力をもたせている。

今年の前ねぶたは「草摺引」がテーマで、例年と違い担ぎねぶたになる。その担ぎねぶたの前を、佐井村の矢越芸能保存会の歌舞伎役者が「白波五人男」の衣装を纏い先導を切る。これはヤマト運輸が特別に出演を依頼したものである。彼らの登場は83日のみである、是非先頭を優雅に歩く姿を見てほしい。

 

〔歴史〕

 2018年で34年目。当時、全国の運送会社の代表で組織している会合が偶然ねぶたの時期に青森で開催され、日通のねぶたに参加した。宅急便の仕組みを作ったヤマト運輸二代目社長が、ねぶた祭りを気に入り当時の担当者が出陣に向けて準備することになった。出陣までに23年かかっており、観光ねぶたとして出陣していた「大和山(青森県教区連合会)」の枠が空いたところにヤマトが推薦されて運行することとなった。当時担当していた社員がねぶた師の穐元鴻生氏と顔見知りで、穐元氏がデビューするタイミングに依頼することができた。また、穐元氏の一番弟子である大白我鴻氏に意思を継いでいただき3年ほど依頼した。その後北村隆氏に依頼し現在に至る。毎年、青森の主管支店長が団体責任者、労働組合の青森の委員長が運行責任者として参加している。実行委員は青森市内の集配しているドライバーで、日中が忙しい。メンバーはヤマトの社員だけで構成しているため、仕事をしながら稼働の合間をみて会議を行っている。

 

〔運行〕

 実行委員30人、ヤマトの主管支店社員20人、アルバイト80人が中心で運行している。今年はそれらにさらにスタッフとして40人が増援されている。また統制班も別にいて、跳人はヤマトの関係者だけで100150人もいる。跳人と一緒に、「クロネコジャンプ」と呼ばれたものや、「クロネコヤマトの宅急便」というフレーズの掛け声を20年近くやってきた。しかし、ここ何年かは企業PRや企業イメージを連想させるため、一切使っていない。リズムは似ているが、「祭りだよ」「日本の火祭り、ラッセラ、ラッセラ」と掛け声を変えている。囃子会である「夏響会(かきょうかい)」の運営の助成金はヤマト運輸から出しているため、会費を取らなくても最低限の運営はできる。最初は社員と取扱店だけで構成されていたが、今では一般の参加者と一緒に行っていて、会長もヤマトの社員ではない。会員は大人子ども合わせて約100人。ヤマト運輸の本社公認の祭りは青森の「ねぶた」と四国の「阿波踊り」のみである。予算も決算も会社の経理と同じで、経費として申請するので無駄遣いはしないようにしている。「絆灯の会(きずなびのかい)」は、ヤマトの社員の有志が集まる親睦会のこと。

 

〔制作〕

ねぶたはねぶた師の一番作りたいものを作ってもらっている。3年前からLEDが全体の78割を占めるため、700800個はLEDを使用している。色や明かりの表現によっては、白熱球と蛍光灯を使い分け、白熱球の代わりに省エネボールを組み合わせて使用している。基本的には、ねぶた祭りが終われば壊し、また新しいねぶたで表現してもらう。一番の希望は一年間ご褒美で見せることができるワラッセに入ることで、そうすれば、出張で来た県外の方たちにもヤマトのねぶたを見てもらうことができるからである。結団式に当たる「三位之会(さんみのかい)」でねぶた絵図のお披露目をする。

 

〔囃子〕

ヤマト運輸ねぶた実行委員会の囃子はヤマト囃子方夏響会が担当しており、会の発足から今年で23年目となる。夏響会の名前には、囃子が夏の空に響き笑顔で奏でるという意味が込められている。女性も男性に負けない迫力で演奏をするのが特徴的である。賞を狙うよりも最後まで笑顔で楽しく演奏できればよいと考えている。進行囃子、戻り囃子は細かい部分に関してこだわりを持っており、特に昔から受け継いできたころばし太鼓は非常に大切にしている。

 

 

 

文責:髙橋恭太郎 

 

写真:2017年「赤沼伝説」 北村隆