東北電力ねぶた愛好会

~新時代となっても地域に「寄り添う」~

2019年の見どころ】

 東北電力ねぶた愛好会の今年の題材は「十和田湖伝説『南祖(なんそ)(ぼう)八之(はちの)太郎(たろう)』」。制作者は京野和鴻氏である。南祖坊は現在の南部町で生まれた才知に溢れる名僧である。修行で熊野の地を訪ねた折、「鉄の草鞋(わらじ)の緒が切れた場所が終の棲家(すみか)になる」とのお告げと草鞋を授かり、修行の旅の途上の十和田山の頂で草鞋の緒が切れた。すると十和田湖の主,八之太郎が戦いを挑んできた。その激しい戦いの場面を表現している。東北電力は県内最大の水力発電所である十和田発電所を運転しており、そこでは昭和18年から長きにわたって十和田湖の水が利用されている。そういった十和田湖の恵に対する感謝の想いと、令和の御代最初の出陣ということで新しい時代となっても、これまでと変わらず地域に感謝し、共に歩み、寄り添い続けるという決意が込められている。

 

【運行団体の歴史】

  東北電力ねぶた愛好会は昭和 23 年から運行を開始した。経営理念が「地域繁栄への奉仕」ということもあり、地域との共栄を目的に始めた。現在のコーポレートスローガンも「より、そう、ちから。」であり、地域に寄り添い,地域の伝統文化の継承と地域の盛り上げに貢献するため運行を続けている。東北電力ねぶたはオイルショックの影響を受け、昭和 48年に出陣を休止した。しかし青森市内に在住するねぶたを愛する有志からの復活を望む声が多くあり、労働組合が中心となって東北電力ねぶた愛好会を立ち上げ、昭和 59 年に運行を再開した。運営資金は愛好会員からの会費を中心に、関連企業や取引先からの協賛金により賄っている。現在も労働組合と会社が協力してねぶた運行を行っている。

 

【運行について】

  東北電力ねぶた愛好会には 500数名が所属しており、その中の実行委員会が当日の運行を取り仕切っている。跳人は多くて1100人ほど参加し、愛好会からは120人ほどが参加しているという。また東北電力ねぶた愛好会では花笠の着用は必須で、跳人として参加する人には貸し出しを行っている。なお、当日の受け入れも花笠、浴衣、たすき、いわゆる正装の方は参加可能である。囃子は社員が中心となった電囃会という部隊を持っており、その会員は 50 人ほどである。その中には勤務地が県外の人もおり、休日を利用して青森に囃子の練習に来る人もいるのだという。また、東北電力ねぶた愛好会には曳行部という曳き手の部隊がある。部員は20人くらいで、東北各地に散っているので15人くらいが代わるがわる参加しているという。

 

【制作について】

  ねぶたの制作は昭和 59 年の復活出陣以降、我生会(がしょうかい)4 代ねぶた名人である鹿内一生氏とその門下生で結成したねぶた師の一門)に依頼している。現在のねぶた師は京野和鴻氏である。東北電力ねぶた愛好会は昔ながらのねぶたにこだわっている。現在のねぶたは鮮やかな色づかいのねぶたが多いが、東北電力ねぶた愛好会は淡い色づかいで一体もののねぶたを作っている。我生会独特の淡い色づかいとかすれのある書き割り(渇筆)で表現される荒々しさ、手足の力強さが特徴である。また毎年、能代市のおなごりフェスティバルに参加している。そこでその年に制作されたねぶたは囃子による演奏と共に最後の披露を迎え、その後、役目を終えたねぶたはその場で取り壊される。 

 

【東北電力ねぶた愛好会囃子方 電囃会(でんそうかい)

 名前の由来は「東北電力の囃子の会」ということからきている。結成当初の先輩方の思いや囃子のこだわりを大切に引き継ぎ、さらに後継へと伝えていくことに重きを置いて活動している。また囃子は「縁の下の力持ち」という理念のもと、ねぶた本体や跳人を盛り上げるべく音を奏で、影ながら東北電力ねぶた愛好会を支えている。

 

文責:柏崎健介

 

 

写真:2018年 東北電力ねぶた愛好会 花和尚「魯智深」誕生 京野和鴻

 

 

原画:2019年 東北電力ねぶた愛好会 十和田湖伝説「南祖坊と八之太郎」 京野和鴻