青森市役所ねぶた実行委員会

~切り開く新たな挑戦、いざ出陣!!~

【2023年の見どころ】

 今年の制作者は青森ねぶた祭初陣となる福士裕朗氏である。今回のねぶたの題名は、「主従の絆 牛若丸と弁慶」だ。弁慶が1000本の刀を集めているところ、1000人目に出会った牛若丸と刀をめぐって戦い、大薙刀を振るう弁慶と軽やかに立ち振る舞う牛若丸を再現している。2人は平家打倒の合戦に臨み、最後に奥州で最期を迎えるまで一心同体の関係を続けた。このねぶたは、主従の深い「絆」が芽生えた五条大橋での出会いの場面を表現したものである。

市役所ねぶたは東北絆まつり2023青森出陣することが決まっていたため、「絆」と関連させ、この題材になった。また、「牛若丸と弁慶」は我生会の得意分野とのことなので運行が楽しみである。

 市役所ねぶたは「誰でも自由に楽しく」というテーマで運行しており、年齢に関係なく誰でも参加できる。また、小さいお子様が参加しやすいように、安全に跳ねることが出来る「子どもハネトスペース」を設けるとともに、運行終了後にはお菓子が貰えるといった子供が楽しめるような工夫がされている。

 前ねぶたは、JALほか青森公立大学が登場する。福士裕朗氏が公立大生であった時に、前ねぶたを制作し運行させたことがあったが、それ以来となる。今回は青森公立大学開学30周年を記念して、ねぶた師をめざす公立大生が制作したねぶたが出陣し、市役所ねぶたを盛り上げる。

 

【運行団体の歴史】

 青森市役所ねぶた実行委員会は1958年(昭和33年)に運行を開始し、今年で63回目の出陣となる。職員の福利厚生の一環としてだけでなく、地域のお祭りへの参加を通じて、ねぶたの伝統文化保存への寄与ということを目的としている。市役所職員は公務としてではなく、任意団体である市役所職員の互助会の事業に参加という形でねぶた祭りに参加している。

 

【運行について】

 市役所のねぶた運行に関わる事務は人事課が主に担当しており、曳き手は、職員の他にアルバイトを雇い補っている。運行方は、職員から運行委員を募集し、運行の安全確保を図っている。囃子方は、市役所内に任意の組織があり、現在50〜60人が登録している。4~5月には囃子体験会を行っており、新規加入者の受け入れも行っている。メンバーは主に市役所職員であるが、家族で参加している方、かつて市役所に勤務していた方が参加している。

 

【制作について】

 前述のとおり今年は青森ねぶた初陣となる福士裕朗氏が手がけている。初の試みとなることで期待されている。市役所ねぶたは、制作者が作成した原画をねぶた実行委員会の長である市長が確認し、題材を決定している。テーマや題材に指定はなく、制作者がつくりたいねぶたを制作している。

 

【囃子の特徴】

 一番に言える特徴は、「みんなが楽しんで演奏している」という点であり、大きくは地域交流の場となっていることだ。国道に出たときでも沿道のお客様にも楽しんでもらえるよう、太鼓の台車から遠く離れた観客席の方に出向いて笛と手振鉦を演奏するという工夫をしている。演奏は青森ねぶた正調囃子保存会の囃子をベースにしており、昭和35年からこれまで連続してねぶた祭りに参加している。今年は青森公立大学のねぶたサークルの学生約30名も参加することとなり、若い力も加わっている。

 

 文責 鳴海愛佳

 

写真:2023年 『~主従(しゅじゅう)(きずな)~ 牛若丸(うしわかまる)と弁慶』 制作者:福士裕朗