青森市民ねぶた実行委員会

【2023年の見どころ】

 

今年の大型ねぶたのテーマは「土蜘妹」であり、北村麻子さんが制作している。源頼光が病気に倒れ、待女の胡蝶が薬を取りに行き、頼光のもとへ届けた。夜に現れた怪しげな僧が上蜘蛛の化け物であり、頼光に糸を吹きかけるが、頼光はそれを刀で切った。翌日、頼光は僧の血痕を辿り、土蜘蛛を退治した。頼光の病気は回復し、彼は「蜘蛛切り」と呼ばれるようになった。この世に起こるあらゆる苦悩と災いを蜘蛛切りのごとく断ち切り、明るい未来が訪れることを願っている。前ねぶたは星野リゾートとロッテも北村麻子さんが制作し、星野リゾートの温泉に入っているねぶたの前は今年作り替える予定である。

 

青森市民ねぶた実行委員会は企業ではなく、ねぶたが好きな人が集まってできた市民団体である。今年はコロナ禍が明け、記念すべき20回目の出陣であり、ねぶた、囃子、運行の三位一体での楽しい運行を目標に掲げている。また、予算はスポンサーの企業で賄っており、今年は「ダイドードリンコ株式会社」、「クラブツーリズム株式会社」、「株式会社近畿日本ツーリスト」、「株式会社星野リゾート」「株式会社ロッテ」「オリックス株式会社」に加え、「麦焼酎いいちこ」が協賛する予定だ。

 

【歴史】

 

青森市民ねぶた実行委員会は企業団体ではなく、様々な仕事をしているねぶた好きな人 が集まってできた市民団体である。2002 年からねぶたの運行を開始した。そのきっかけは 地元の景気が低迷したことだという。それによりねぶたの台数が減り、運行を休止している団体もいくつかあったため、新たに団体を立ち上げてねぶたを出し、祭りを盛り上げていくことになった。

 

【魅力】

 

市民ねぶたのねぶたは、北村麻子さんが制作しており、「女性らしいねぶた」にこだわっており華やかで色鮮やかなねぶたが印象的である。市民ねぶたは毎年賞を取っている。

 

花笠や浴衣の貸し出しも行っており、運行が綺麗に見える工夫をしている。北村麻子さんの想いをぶつけた作品、運行、はやしの三位一体の運行を楽しんでほしい。

 

企業団体ではなくねぶた好きが集まり結成した囃子部「あおもり市民ねぶた囃子隊」という独自の部隊があり、現在の指導役の教えに忠実に従った演奏が主体となっている。隊員数は 150人くらい。そのうち毎日参加する人は半数くらいだという。週に3回ほど、年間を通して練習している。祭り本番に使用する笛用の音響マイク前には演奏が上手い人以外の人も立たせ、全員が技術向上できるように努めているのが特徴である。

 

文責:西川花菜

 

写真: 2023年 『土蜘蛛』 制作者:北村麻子