に組・日本風力開発グループ

〔囃子について〕

 マイクやスピーカーなどの音響を一切使用しない生演奏にこだわっている。また、あえて整列しないことで観客に楽しさや躍動感を伝えられるようにしている。オリジナルの半纏に誇りを持っており、認められた者だけが個々に採寸して作り着用できる一点物で、不要な装飾品の装着を禁止するなどのこだわりがある。初の運行団体お抱えの囃子方で荒川地区の囃子を継承しており、この囃子を後世に保存、伝承することを目的としている。

 

〔歴史〕

 戦後から出陣し2019年で73回目の出陣になる。消防団の中の一つの班で「に組」としてねぶたに参加している。当初は本町の地域ねぶた「消防団第三分団に組」として出陣しており、ねぶた師である北川啓三に制作を依頼していた。に組若者中心で活動しており、東芝が40年以上メインスポンサーについている。歴代のスポンサー企業はSANYO、サッポロなどで、5年ほど前からauもスポンサーに加わった。その他の資金は地元の飲食店や町内企業と町内にお住いの皆様からの協賛金で成り立っている。運営の中心である「に組本隊」は「に組」組頭を筆頭に約10名で構成されており、ねぶた運行全体を仕切る役割担っている。他に20年の歴史を持つ「に組般若会(はんにゃかい)」と「に組に援会(にえんかい)」があり「に組」の協力会としてねぶた祭本番の際、運行統制を行っている。一昔前、カラス跳人の全盛期には必ず「に組」のねぶたが最後尾で、カラス跳人を制圧していた。

「青森ねぶた囃子保存会 に組(に組はやし方)」は約300名所属しており、一年を通して囃子練習をしている。「に組はやし方」は白半纏が特徴的であり、それに憧れる人も多い。白半纏を着るためには、練習にきちんと参加しているかが重要で、1年間練習をしっかりやっているのが認められれば2年目の本番で白半纏を着ることができる。跳人の衣装や浴衣の貸し出し・レンタルはしていない。花笠だけは貸し出しをしていて、100~200個を用意している。現在も跳人から人気が有り1000~2000人の地元の若者が参加している。リヤカーを引くのはアルバイトであるが、ねぶた本体の曳手は「に組」のことが好きなボランティアの若者が集まっている。祭りを純粋に楽しむことが一番で、賞は後からついてくるものだと考えている。北村隆氏に依頼してから2019年で11年目。毎年テーマ設定はしないが、2016年は70周年の記念として消防団の纏(まとい)を取り入れてもらった。2022年からメインスポンサーが東芝から、風力開発グループにかわり名前も変更している。

 

〔活動〕

  に組は内外の活動が広く、2016年に青森県で行われた六魂祭に参加。震災復興のためのねぶた出張にも積極的で阪神淡路や東日本の震災の時にも復興祈願でねぶたを出陣させた。最近では熊本へも出張しており今年も遠征を予定している。2015年には、イタリアのミラノ万博にねぶたを出した北村隆氏に協力して、一緒に参加を果たした。音響設備を必要としないため、行動が早いのが特徴だという。

 

文責:佐々木てる

 写真:2023年 に組・東芝 『桃太郎』 制作者:北村 隆