青森市PTA連合会

~親子で楽しく参加 大型ねぶた運行存続へ~

【2023年の見どころ】

 今年の題材は、『天狗と牛若丸』である。

 平治の乱で父の源義朝が謀反人となり敗死し、鞍馬寺に預けられた牛若丸はある日、東谷の僧と共に、西谷の花見の招きを受けて連れられ出かけた。しかし、その席に見知らぬ怪しげな山伏が割り込んできたので、気を悪くし牛若丸を置いて帰ってしまった。

 ただ一人残された牛若丸の素性を知った山伏は花の名所へと案内した。暫くの間、二人は親しく語り合い、やがて山伏は自分が鞍馬山の僧正坊そうじょうぼうという大天狗であると正体を明かした。

 牛若丸の願いである平家討伐が達せられるよう大天狗は武術や剣術、兵法を牛若丸に伝授した。牛若丸が十一歳の時のことだった。

 源氏の再興を予言し、戦場での守護を約束して大天狗は姿を消した。

 牛若丸と子供たちの姿を重ねて、この物語の牛若丸が成長していく姿を子どもたちに見せ、子供たちも牛若丸のように成長して欲しいという思いが込められている。

  コロナ禍の間参加できなかった分の思いを今年にぶつける。

 

【運行について】

 今年(2023年)で創立75年目となる青森市PTA連合会。市P連が大事にしている考え方として「安心・安全・気持ち良く」がある。子供が多く参加する団体だからこそ安心・安全であることが何よりも大事にされている。安心・安全を実現するため、保護者や学校の先生が引率し、参加者がはぐれていないか確認している。水樽も子供の体力の消耗に配慮し、6つ用意されている。また、ここでは運行中の飲酒喫煙は全面禁止になっている。そういう意味でも「安心」だろう。市P連は子供と保護者が楽しく参加でき「来年もまた来ようね」と思ってもらえることを目指している。また、ベビーカーでの参加や参加してくれた子供たちへお菓子をプレゼント、学校の短パン、学校Tシャツで参加可能などの裾野を広げ、参加しやすい工夫も行っている。

 囃子はPTA囃子方が担当している。小中学生が中心となっているためわかりやすい。10年ほど前は囃子だけで600人いたが、現在は少子化の影響もあり、人数は50~60人ほどである。昔は小学1年生から囃子に参加することができたが、それではコースを一周する体力が持たないなどの問題があり、現在は小学4年生以上の参加となっている。囃子は各小学校において他団体の囃子方などに練習をみて頂きながら、市PTA連合会囃子方では七節のスピードだけを合わせるようにしている。これは、学校によって習っている囃子の種類が違うためである。囃子方で参加する子供たちは囃子衣装(単P指定の短パン、Tシャツに半纏もしくはダボシャツ、股引き、胸当に地下足袋またはズック・スニーカー【サンダルは不可】)を着用する。

 跳人で参加する人数は保護者も併せて1日100~150人ほどである。跳人での参加の子供たちはねぶた衣装(正装)の着用を基本とする。但し、正装の準備や着付けが難しい場合は学校の短パン、学校Tシャツにハチマキ、タスキ、シゴキでの参加を認めている。

 曳き手やその他運行補助員は当連合会OB、現役保護者、当会の趣旨に賛同していただいた有志などが集まって組織されている。

 また、運行日程は8月3日~6日の4日間である。

 

【運行団体の歴史】

 青森市PTA連合会ねぶたは、昭和56年に青森市教育委員会が主導となって発足した「中学生ねぶた」が原点である。発足当時から2度名称が変わったが、ねぶた出陣は今年で40回目である。当初「中学生ねぶた」として、教員・市内各小中学校のPTA役員などを動員し、平成2年まで10年続いた。子供の参加が減少気味になり、運行打ち切りの話も出たが、「このねぶたはやっぱり無くしてはいけない」という当時の連合会会長や役員の思いから、PTA連合会が運営と運行を引き受けることになった。しかしその後、多くの教員を動員することは厳しい等の話もあり、今度は「親子ねぶた」に名称を変え、PTA側が主となって引き継ぐこととなった。「親子ねぶた」は平成15年まで13年続いた。そして平成16年に「青森市PTA連合会ねぶた」に名称を変更し、現在まで続いている。主なスポンサーはハッピードラッグ(株式会社丸大サクラヰ薬局)である。

 しかし、長年続けてきた青森市PTA連合会ねぶただが、存続の危機にさらされている。

ねぶた祭りに大型ねぶたを出陣させるためには多くの関係者が時間と労力を費やしていく必要があり、市P連はねぶた祭りが終わるまでほぼ他の事業に手をつけられなくなるということ、少子化により関係スタッフがどんどん減ってきていること、主役である子どもたちの参加数が激減していることなどが理由で大型ねぶた運行のあり方を大きく見直さなければならない時期に来ている。

 そこで、今年の祭り期間中、のべ500名の児童生徒(跳人および囃子)が集まらなかったら今年度の運行を最後に市P連大型ねぶた運行事業は廃止ということにした。参加したい、興味を持ったという小、中学生の方は、下記のURLから市P連ねぶた2023 特設ページにアクセスしてみて欲しい。市P連大型ねぶた運行の存続はあなた方小、中学生に懸かっている。是非、市P連大型ねぶた運行に参加し、歴史をつくろう。

 

【制作について】

ねぶた制作を依頼する際、テーマはねぶた師にお任せしている。歴代の制作者には北川啓三氏、北村隆氏など多数おりますが、平成19年からは内山龍星氏が制作している。歴代の前ねぶたには、ポンデライオンや太鼓の達人(どんちゃん)、子ども達が制作した金魚ねぶたなどがある。今年はハッピードラッグのマスコットキャラクターであるハピマルと少年非行防止JUMPチームの山車が出陣する。

 

https://www.aomorishi-pta.net/committee/gakeppuchi2023/

〈崖っぷち市P連ねぶた2023 特設ページURL〉                                                        

 

文責:熊地勇樹

 

写真:2023年 青森市PTA連合会 『天狗と牛若丸』 制作者:内山龍星