青森自衛隊ねぶた協賛会

~地域を守る誓のねぶた。出陣~

【2023年の見どころ】

 自衛隊は4年ぶりの出陣であり、現在のねぶた師の有賀義弘氏は今年で最後の出陣となる予定だ。今回のねぶたの題名は、「三国志」だ。中国は時代の変革期を迎えていたころ劉備と蜀漢、魏、呉による三国時代の物語である。このねぶたは志のため共に戦う誓いを立てている劉備、関羽、張飛の三人と、国と国家のために戦う自衛隊の姿を重ね合わせたものである。自衛隊らしいテーマとなっており、復活、信頼、誓いを込めたねぶたとなっている。例年に比べ、華やかな色を多くつかっている。特に桃の花に注目だ。

送りはねぶた制作者を目指す小財覚さんが制作しており、桃の花にちなんでテーマは「西王母」だ。美しい西王母にも注目してほしい。

 

【運行団体の歴史】

 青森自衛隊ねぶた協賛会は、陸上自衛隊青森駐屯地に所在する部隊を基幹として、昭和35年から青森ねぶた祭に参加し、平成29年度の出陣で55回目の参加を迎えた。青森陸上自衛隊の正しい姿を地域の方に理解してもらうため、「地域の皆様との親近感の醸成と、郷土と共にある自衛隊の確立を目指すこと」を目的に出陣をした。自衛隊として青森駐屯地からねぶたを出陣した当初は、ねぶた師の佐藤伝蔵氏、千葉作龍氏、鹿内一生氏等に制作を依頼していたが、ねぶた祭りへ継続的に参加するには毎年高額の経費がかかるため、昭和43年頃から自衛官中心でねぶたを制作することとした。当初は、ねぶた師の佐藤伝蔵氏に師事をいただき3名が見習いとして参加し、昭和52年から師事を受けた3名の自衛官が中心となってねぶたを制作した。このように、自衛隊の出陣は地元意識に根付いたものである。青森駐屯地の隊員は地元出身者が多く、自分たちの力で地元を守るという意識が非常に強い。自衛官として、また、青森市民として活動し地元を守っているのである

 

【制作について】

 現在のねぶた師の有賀義弘氏は青森市出身の自衛官である。有賀氏の前に制作していたねぶた師は後継者が決まらないまま定年退職したため、十数年と一番長くねぶた制作に関わっていた有賀氏に白羽の矢が立った。ねぶたの制作は全て自衛官が行っている。現在はおおよそ11人が制作を手伝い、紙貼りの時も15人程度で行っている。

 下絵の題材は、その年にあったテーマで枠組みが決まる。年度の特性、自衛隊の特性を踏まえ、今年度の大きな枠組みやテーマをねぶた実行本部長(青森駐屯地司令)が提示。その中で、テーマに沿った題材を有賀氏が掘り下げる。制作したねぶたは、祭り終了後に全て壊す。照明は全部外して来年も使えるようにするが、針金の再利用は難しいため処分してしまう。自衛隊ねぶたは一体もので制作していて、題材自体、初めて見る人にも分かり易いように選んでいるため、シンプルに迫力・色を楽しんでほしい。

 

【運行について】

 前述の通り、自衛隊は4年ぶりの出陣となる。跳人、曳き手、お囃子、扇子持ち全て自衛官が行っている。跳人は約120人、曳き手は約30人いる。自衛隊はのびのびと行っており、後継者育成に力を入れている。

 

【囃子について】

 青森自衛隊ねぶた協賛会囃子部では、観客の皆さまを楽しませ客席との一体感を感じられる囃子が見どころとなっている。担ぎ太鼓などを演奏しながら沿道を盛り上げている。

  自衛隊は命令によって隊員が招集されるが、囃子部に参加する隊員は「囃子をやりたい人」、「みんなで楽しむことが好きな人」が集まり活動している。また、隊員だけでなくその知り合いや駐屯地近くの住民も参加できる。

 

文責 鳴海愛佳

 

写真:自衛隊ねぶた協賛会 『三国志 絆』 制作者:有賀義弘