日立連合ねぶた委員会

~常勝軍団復活!いざ!頂点へ!~

【2023年の見どころ】

  今年の大型ねぶたの題材は北村蓮明氏の「新田義貞伝説 龍神へ太刀を捧ぐ」である。新田義貞は鎌倉時代から室町時代にかけての戦いの中で活躍した武将で、荒れていた海に太刀を捧げて、海の神「龍神」が波を静めてくれたという海のエピソードである。ねぶたは、太刀を捧げ祈った新田義貞の前に龍神が現れた場面である。右にいるのが太刀を差し出している義貞で、左が海の神、龍神である。龍神と一緒に描く、ダイオウイカとリュウグウノツカイは、急速に進む地球温暖化問題へ警鐘を鳴らすという意味もある。

日立連合ねぶた委員会はお囃子・運行・制作・諸々含めて一体感がある団体である。それぞれのチームの立場に関わらず、互いに協力し合いながら一致団結して準備を進めてきた。また、お囃子は絶対的な実力をもっており、演出の手法は一緒でも出せる迫力が他団体には負けない。ベテランの扇子持ちによる安全・安心な運行と蓮明さんらしい〝ねぶた〟をどうぞご覧あれ。

 

【団体の歴史】

  日立連合ねぶた委員会は2015年に50年賞を受賞した歴史ある団体である。受賞歴が特に多く、2017年には14年連続での海上運行という偉業を成し遂げた。また、日立の囃子方である「凱立会」も囃子賞を過去に13回受賞している。コロナ禍では、感染症の流行にも負けず、「凱立会」はWebなどで様々な活動を行ってきた。ねぶた期間以外でも様々なイベントに数多く参加している団体だ。

【ねぶた制作】

  日立のねぶたを最初に制作したのは第3代ねぶた名人佐藤伝蔵氏である。そして、2004年から北村蓮明氏が制作している。ねぶた制作に関しては、ねぶた師に全てお任せしており、ねぶたの題材などもねぶた師が決めている。2013年には、LEDを導入したねぶたで初めて大賞を受賞している。北村蓮明氏の持ち味である、鮮やかな色彩と細部までこだわった繊細な作りのねぶたに今年も注目したい。

 

 【凱立会】

  凱立会は、初代青森ねぶた正調囃子保存会会長である南了益氏が大切にしてきた「囃子、技法、歴史、心」を受け継ぎ、全てを伝えていく趣旨で結成された会である。賞に関係なく、普段から勉強や練習をし、最高の囃子を祭りで届けること、正調囃子をはじめとした囃子に携わった先人たちの思いを受け継ぐことを理念としている。特に注目すべきは太鼓である。本来53節あった囃子をどう7節に落とし込むか、熱心に研究し、強弱だけでなく演奏している姿から囃子にかける熱い思いが伝わるだろう。

 

文責:飯田栞音

 

写真:2023年 日立連合ねぶた委員会 『新田義貞伝説 龍神へ太刀を捧ぐ』  制作者:北村蓮明